技術士 情報工学の情報システム・データ工学の課題解決能力問題(III)で出題問題の傾向などを調べてみました

こんにちは。

昨日は選択II-2の出題傾向について調べてみました。
今回は課題解決能力問題(III)の出題傾向について調べてみます。

平成26年度〜平成28年度までを調べてみました。
過去問題はこちらにあります。

目次

平成26年度 III-1

年度、問題番号 概要
平成26年度 III-1 事業部門の統合により発生する課題、問題点、リスク

  1. 情報システム統合で解決すべき課題4つ
  2. 情報システムの統合の型を2つ上げ、片寄型と比較しつつ説明
  3. 1.の課題への対応策、問題点、リスク

事業部門が統合される場合に情報システムはどうするか、という問題ですね。
企業自体で使っている情報システムを合併後にどうするか、というのはなかなか難しい問題ですね。
設問では「片寄せ型」という手法(?)を一つ例示し、それ以外にどうするか、課題はなにか、そしてどうするかについてを聞いています。
そもそも事業統合の場合にはケースバーイケースで、それぞれの企業が抱える問題があったりして難しいところだと思います。
ですがここでは学術的に「こういう解決方法があるよ」ということを例示できれば良さそうです。

ちなみにこのシステム統合にはちゃんとした名前がついているようですね。

オープンソース時代の企業システムポータルサイト。効率的なシステム構築を行うための情報提供をおこないます。

ざっくりいうとどちらかの企業に合わせる片寄せ型、両方を残す併存型、若しくは組み合わせ型、新しく作っちゃう新規開発型、だそうです。
この辺りの経験があると解答をかけそうですが、課題の設定もまちまちですので難しい問題に感じました。 

平成26年度 III-2

年度、問題番号 概要
平成26年度 II-2-1 社内システムをクラウド化する際のリスク
  1. プライベートクラウドの検討すべき事項を3つ挙げて説明せよ
  2. バーチャルプライベートクラウド若しくはパブリッククラウドを構築する場合の技術的課題と解決提案
  3. 社内のクラウド化による効果と想定リスク、期待すること(将来のビジョン)を記述せよ

クラウド化の問題ですね。日本の企業でよく聞かれる「情報漏えいするからはパブクラはNG!」という問題を反映した設問ですね。
プライベートクラウドのよくある問題点は回線の保証、メンテナンス、選定といったところでしょうか。設問1はそのあたりをベースに解答がかけそうです。
設問2は「設問1でクラウド化した社内システムを、外部に仮想的なプライベート環境を構築するか、外部のパブクラに構築する場合の技術的課題」とあります。
普通の社内システムだったものをオンプレミス(自社内に物理的に設置してある)の環境からプライベートクラウド化、その後に外部事業者でプライベートクラウド化、若しくはパブリッククラウド化、という設問です。
個人的には二度手間になってしまうので、そもそもプライベートクラウド化する際に外に出すほうが良いとは思うのですが、そのあたりは設問の意図があるのでしょうがないですね。
外部に出すことの課題としては、セキュリティ(情報漏えい、物理保護)、回線品質(応答速度、帯域)、価格あたりでしょうか。
設問3はリスク、期待することです。技術士の課題解決能力問題(III)は大体が「リスク」「留意点」などで、あそこがダメ、ここがダメ、というネガティブな問題が多いです。(問題解決能力の一つがリスクアセスメントなのでしょうがないんです)
しかしこの設問では「期待すること」ということで、技術的にポジティブな意見を書ける設問ですので、ちょっと楽しいですね。
エンジニアは技術について「〇〇ってすごいんだよ!」と語りたくてしょうがないでしょうから、自分で思ってる「〇〇すごい!」というのをかけば良いとおもます。もちろん技術士として冷静な視点で書くことが望まれますね。

平成27年度 III-1

年度、問題番号 概要
平成27年度 III-1 自治体オープンデータのメリット、デメリット、導入時のリスクなど
  1. 自治体がオープンデータ化を行うメリットを2つ挙げよ。また阻害の要因、抵抗の要因を2つ挙げて具体例。
  2. 1の阻害、抵抗の要因に対する解決策
  3. その解決策の効果、メリット、リスク、デメリット

自治体のオープンデータ化についての設問ですね。近年は自治体主体のオープンデータのコンテストやハッカソンが開催されています。

 総務省及びオープンデータ流通推進コンソーシアムは、総務省が実施しているオープンデータ実証実験においてオープンデータ化される様々な公共データを活用したアプリケーションの開発を一般公募により行うこととし、優秀アプリケーションについて表彰を行う「オープンデータ・アプリコンテスト」を開催します。

オープンデータ化を行うことで「地域住民のために便利なシステム作ってね!」というのが狙いです。
実際に運用されるにはなかなか難しいのですが、自治体がお金や人員を使わずとも活性化を望むことができる、というのは大きいですね。
(その責務を転嫁してるとの批判もありますが…)
個人的にはいろいろなものがオープン化されるというのは良いことだと思っていますが、新しい取り組みですので批判的な意見も多いです。
特に地域住民の個人データと結びつくような情報については非常にデリケートです。
オープンデータというと「特定の記録方法で収集された大量のデータ」というものが多くて基本的には個人情報とは結びつきません。
しかし「その自治体の納税額者上位10件」といったデータがオープンデータ化されると、分かる人には分かっちゃうデータになっちゃうんですね。
ですのでそういった情報に結び付けられないようなデータを選定する必要があったりします。
個人的にこのあたりは世代の新陳代謝、意識の浸透で変わってくると思っています。
以前は「長者番付」(1947年から2005年)が当たり前に存在していました。
それが個人情報保護の観点から廃止されて10年です。
「個人情報は保護すべきだ」という考え方ができてまだ日が浅いですが、徐々に浸透し始めていると感じます。
となるとオープンデータもあと10年、20年後には「オープン化されたデータはこのように扱われるべきだよね」といった意見が徐々に浸透するのではないか、そうなるとオープンデータ化も当たり前になっているのではないか、と期待しています。

さて設問に目を向けると「阻害、抵抗要因への対処、メリデメ、リスク」となっています。
大きな要因は「嫌がる人がいること」「オープン化以外のデータが漏洩したらまずい」「お金がかかる」といったことが挙げられます。
特に「嫌がる人がいる」というのは先述したとおり難しい問題です。
この要因については「説明して理解を得る」「弱者を助ける便利な実例を出す」「あなたの利益につながります」といった辺りが解決策になると思います。

平成27年度 III-2

年度、問題番号 概要
平成27年度 III-2 マルチデバイスでのUI
  1. UIの観点からそれぞれのデバイスで検討すべき項目
  2. ワンソース・マルチデバイスの課題を2つ挙げ、解決策を述べよ
  3. ワンソース・マルチデバイスの場合に将来的に開発されるデバイスに対しての想定されるリスク

UIについてのお話です。幾つかキーワードが出てきていますがわかりにくかったので整理しました。
「ポインティングデバイスやキーボードを利用する端末」というのはパソコンのことでしょうか。
「スマートフォン、タッチパネルを含むタブレット端末」はスマホ、タブレットのことですかね。
これらの場合のUIについて、だそうです。
「ワンソース・マルチデバイス」というのもあまり馴染みがなかったのですが、調べてみるといわゆる「レスポンシブウェブデザイン」のことを指すようです。ウェブ開発をやっていたらお馴染みですね。
「ワンソース・マルチデバイス」の言葉からだとCordovaとかPhoneGap、Objective-C(iOSとmacOS)といったネイティブアプリ系かな…とも思ってしまいますが、別にウェブでも良いみたいです。
デバイスで検討すべき項目、課題などということで、「端末ごとにブレイクポイント(幅)が違う」「JSが動かないことがある」「再現性が違う」「保守が大変」といった事が挙げられそうです。
面白いのは「将来的に開発されるデバイス」の点ですね。以前ウェブの勉強会で「10年、15年といった近い将来にウェブはもうないかもしれない」なんてお話がありました。
そのお話では「Googleグラスみたいなのが普遍的になって、ウェブじゃなくてAPIとアプリの通信だけで情報を取得する世の中になるかもしれない」ということでした。
確かに近年のウェブはフラットデザインの普及、APIの普及、JSON+LDなどの登場によって、見た目よりデータが重要になりつつあると思います。
なのでウェブがなくなってしまう…、というのも無くはないお話ですね。

さて設問ですが「将来的に開発されるデバイスに対してのリスク」ですので、例えばVRヘッドマウントディスプレイですとか、脳神経伝達デバイス、壁や窓などの超大型デバイスを想定すると良いかと思います。
今問題はUIがテーマなので、今よりももっと大きい、もっと小さい、若しくは立体的になるといった場合にワンソースだと大変だよね、あたりを軸にすると良さそうです。
この「将来的に開発されるデバイス」の想定はありきたりすぎると面白くないので、採点者よりちょっとだけ未来的な想定にすると「おっ、こいつオモロイな」って思ってもらえるかなと思いました。未来的すぎると「なんやコレ…」となっちゃうので注意が必要ですね。

まとめ

以上が情報工学の課題解決能力問題(III)の過去問についてでした。
平成26年度は企業向けのお話でしたが、27年、28年はウェブ系のネタも多いかなと思いました。
今年はどんな問題が出るのか楽しみですね。

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